ひよ子の本棚*

◆twitterやってます>>ID:ひよっこ@furari3710(https://mobile.twitter.com/furari3710)◆こちらでは140文字で書ききれなかったおすすめ本の記録を*※一部ネタバレご注意ください!※

失恋天国(瀧羽麻子著)

失恋を乗り越えた先にある成長物語*

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失恋を乗り越えるための「失恋学校」を舞台にした物語。

 

結婚式目前に婚約者から振られた主人公雛子を中心に
登場人物が、失恋を乗り越えていく、
それぞれの成長物語です。

 

「失恋学校」という舞台設定が面白い!
全寮制をはじめとするいろいろな制度も、授業の内容も興味深い♪
こんな学校があったらちょっと入ってみたかったかも!
そんな風に思わせてくれます*

 

周りの登場人物も個性的で魅力的。
年代性別関係なしに、みんなそれぞれに、失恋はつらくて悲しい。
何回経験しても1回1回辛くないことはなくて、慣れることもなくて、、、
それだけ大きな出来事なんだなって思いました。

 

無理な切り替えや気持ちだけじゃない。
時間をかけて、周りの人との関わりを通じて、
自然と前を向いていく…そんな静かで小さな、
だけど確実な変化と成長が心地よいし、リアルだなって思いました。

 

 


▼▼▼ 以降 ネタばれ 注意 ▼▼▼

 

 

 

失恋は自分と向き合う契機

「結婚式目前に婚約者から振られた主人公雛子を中心とした失恋からの成長物語。」な、わけだけど…

結婚式目前に婚約破棄って…よくあるのか?


以前読了した「太陽のパスタ 豆のスープ(宮下奈緒著)」も
同じ境遇の主人公が自分を見つめなおす物語だったなあと、ふと思い出しました*
(こちらの小説もとても好きなのでまたいつかご紹介します♪♪)

 

 

失恋って大なり小なり、自分を見直すきっかけになりますよね。
(婚約破棄ともなると、「失恋」の一言で片づけていいのか
わからないほどにかなり大きな出来事に思えるけれど…)

 

あのときああしてればよかったのかな、とか
こんな私だからダメなんだ、とか
あんなヤツ最低!別れて清々した!、とか…

後悔、悲しみ、卑下、憤り、、、、、
いろんな感情が沸き上がってきて、いろんな自分が顔を出して、
そこと向き合う時間が増えてくる…

そりゃそうですよね、今まで2人で過ごしてきた時間がぽっかり空いて1人になるわけだから。

 

そんな中で雛子は失恋学校に通い、
同室のエミリと貴和子と過ごす日々の中で、
徐々に失恋を過去の出来事として清算していきます。

 

 

失恋は万人共通!

この同室の2人もまた面白い。
年齢、背景、性格、見事にバラバラの3人。
でもこの3人がなんとなく支えあったり励ましあったり…
一緒に少しずつ、それぞれのペースで前に進んでいく…

失恋って共通体験なんだなあと思う。


全然違うこの3人を繋いだのは失恋の共通体験。
どんな恋でも、どんな人でも、
終わったときの喪失感とか悲しみとか…
そこででてくる感情って、どこかわかるところがあるんだろうなあ。

 

 

失恋がくれるのは新しい自分?!

復縁って恋をやり直すことじゃなくて、
新しい恋をまたその人と始めることなんだって。
失恋学校の授業でならっていくのだけど…

なるほどなあ、と。


主人公がそこに身をもって気が付くとき、
雛子の成長を感じる。
ここで、雛子自身も、自分の変化を感じたんじゃないかと思う。

 

前の恋の続きなら、できるかもしれない。
たぶんできる。あれだけ長く、そばにいた。
八年間の思い出がある。日々の積み重ねがある。
でもそれだけじゃないか、と冷静な声が頭の中でささやいている。
たまたま長くそばにいた。
たまたま致命的な仲違いはなかった。
でも現に、事件が起こってしまえば、関係はたちまちこわれた。


「たまたま」の積み重ねが、8年という年月を積み上げたのか。
”それだけだ”って片づけちゃうのは、どこか寂しい気がするけど、
それはあくまで前の恋の続きで会って、
新しい恋愛じゃない。

ただ、一緒にいることができるだけで、
一緒にいたいわけじゃない。

 

同じ自分で、同じ相手と恋愛したところで、
結果は変わらない。
自分の変化・成長が伴ってこそ、また新しい恋が始まる。

それはきっと新しいステージに自分が進んだからなんだろうなあ、、、!
それが元彼であろうと、そうでなかろうと。ふむ。


恋愛下手な私にも共感できるくらいなんだから、
きっと失恋はみんなに平等になにかを残すんだなあ、
なんて思ったりした読後でした。

 

 

 

 

失恋天国 (徳間文庫)

失恋天国 (徳間文庫)